ワ行(五十音順)
ワ
- ワーウルフ ⇒ ライカンスロープ*
- ワーマジムン
- ワーム ⇒ ウィルム*
- ワイヴァーン*
- ワイト*
- ワイラ*
- ワグ・アット・ザ・ワ
- ワクド憑き(ワクドツキ)
- ワクムスヒ
- 分部火(ワケベノヒ)
- 渡り柄杓(ワタリビシャク)
- わちんの火(ワチンノヒ)
- ワッピティー・ストゥーリー
- ワッフ
- ワナムビ
- 笑い男(ワライオトコ)
- 笑い女(ワライオンナ)
- 笑い般若(ワライハンニャ)
- 輪入道(ワニュウドウ)*
- 藁束のジョーン(ワラタバノジョーン) ⇒ ジョーン・ザ・ワッド
- ワリェペン
- ワル ⇒ ウウァル
- ワルキューレ ⇒ ヴァルキュリャ*
- ワルキュリア ⇒ ヴァルキュリャ*
- ワルタハンガ
- ワロドン*
ン
■ ワイヴァーン
[ヨーロッパ伝承][紋章学]
Wyvern,Wivern(ワイヴァーン)【英語】
Wyver,Wyvre,Wiver,Wivre(ウィヴァー)【古英語】
ドラゴンの一種。蛇の身体、獣の頭、コウモリのような翼、鷲のような脚を持った怪物で、空を飛ぶ。日本では「飛竜」などと訳される。長い尾の先端は銛のように尖っていて、毒があるとされることもある。中世ヨーロッパの紋章学など、図版から発展したもので、特別な伝承は持たない。ラテン語で《マムシ》を意味するvipera(ウィーペラ)に由来する。
■ ワイト
[イギリス伝承][指輪物語]
Wight(ワイト),Wiht(ウィヒト)【英語】
ワイト、古い時代にはウィヒト。超自然的な存在を表す語。現在ではトールキンが『指輪物語』の中で描いた塚人(バロウ・ワイト)のことを指してワイトと呼ぶことが多い。
■ ワイラ
[日本伝承][妖怪]
ワイラ【日本語】
『化物づくし』や『画図百鬼夜行』に描かれる正体不明の妖怪。絵のみが残されていて説明などがないため、実体はよく分からない。蝦蟇(がま)が妖力を得て変化したものともいわれる。小動物を食べているともいわれる。モグラを食べているワイラを目撃したという話もある。
■ ワグ・アット・ザ・ワ
[イギリス伝承][妖精]
Wag at the Wa'(ワグ・アット・ザ・ワ)《壁ぎわのひょうきん者》【英語】
スコットランドとイングランドとの境界地方に伝わるブラウニーの仲間。年老いた家つき妖精。鍋などをぶら下げておく自在鉤に、長い尻尾でバランスをとりながら腰掛けている。子供たちと遊んだり、整理整頓しない女中にグチグチ言ったりする。井村君江は「鍋掛け揺らし」と訳出している。手持ち無沙汰に自在鉤などを揺らしているとやって来るという。
■ ワクムスヒ
[記紀神話]
和久産巣日神(ワクムスヒノカミ),稚産霊尊(ワクムスヒノミコト)【日本語】
記紀神話に登場する五穀・養蚕の神。『古事記』では和久産巣日神(ワクムスヒノカミ)、『日本書紀』では稚産霊尊(ワクムスヒノミコト)と記述される。頭に蚕と桑が、ヘソの中に五穀が生じたとされ、豊饒を司る神として信仰された。
■ ワッピティー・ストゥーリー
[スコットランド伝承][妖精]
Whuppity Stoorie(ワッピティー・ストゥーリー)【スコットランド語】
グリム童話の55番「ルンペルシュティルツヒェン」のスコットランド版。夫に先立たれた女が子供と二人で暮らしていたが、あるとき、豚小屋に行くと、飼っていた豚が今にも死にそうにうめいていてどうにもならない。困っていると緑色の服を着た老女がやってきて、たちまち豚を治してみせた。ただしその条件として老女は子供をもらうと言った。3日の間に老女の名前を当てたら子供はとらないと言って老女は去っていった。途方にくれていたところ、2日目の夕方、女は石切り場の泉であの老女が歌を歌っているのに出くわした。「家にいるあのおかみさんにはわかるまい、ワッピティー・ストゥーリーというのがこのわたしの名前とは!」。次の日、約束通り子供をもらいにやってきた老女だったが、女は見事に名前を言い当てて老女を退散させた。
■ ワッフ
[イングランド伝承][妖精]
Waff(ワッフ)【英語】
ヨークシャーシ州に伝わる亡霊。ドッペルゲンガーの一種で、自分そっくりの姿で出現する。これは死の予兆とされるが、もしワッフが現われたら、激しい言葉を浴びせかければ退散し、死の運命を回避できるという。
■ ワナムビ
[アボリジニ伝承]
Wanambi(ワナムビ,ワナンビ,ウァナムビ,ウァナンビ)
ピチャンチャチャラ族に信仰されていた聖なる岩ウルル(エアーズ・ロック)に棲む虹蛇。ウルルで火を起こしたり、勝手に泉の水を飲んだりすると怒ってかみ殺そうとしてくる。そして渇水を引き起こす。アボリジニたちは先祖霊たちが人間も動物も精霊として大地を跋扈する「アルケラ(夢の時代)」と呼ばれる古い時代を想像していた。そこから虹蛇たちによって現在の時代がつくられていく。ワナムビはそれに反対したとされ、今でも肉体を持たず、精霊の姿のままでいるという。
■ 笑い女(ワライオンナ)
[日本伝承][妖怪]
笑い女(ワライオンナ)【日本語】
高知県に伝わる女の妖怪で、夜、山道などでゲラゲラと笑い声が聞こえるという。しかし姿は見せない。
■ 輪入道(ワニュウドウ)
[日本伝承][妖怪]
輪入道(ワニュウドウ)【日本語】
鳥山石燕が描いた妖怪で、炎に包まれた牛車の車輪の中央に恐ろしい入道の顔を持つ。その姿を見たものは魂を失うという。おそらく『諸国百物語』に登場する片輪車がモデルになっている。「此所勝母の里」と書いたお札を戸口のところに貼っておけば近づいてこない。
■ ワリェペン
[チリの伝承]
Huallepen(ワリェペン)
チリの伝承、特にマプチェ(アラウカノ)族の伝承に登場する牛の頭と羊の身体を持つ怪物。水辺に棲んでいて、陸にあがってきて雌牛や雌羊に襲い掛かり、子供をつくる。こうしてうまれた子供は母親と同じ種類の動物をしているが、蹄がねじれていたり、鼻面が曲がっていたり、身体のどこかが奇形の様相を呈している。人間にも悪さをして、妊婦がワリェペンの鳴き声を聞いたり、その姿を見たりすると、生まれてくることもは奇形になると信じられていた。また、3日間ワリェペンの夢にうなされた妊婦も、奇形児を出産すると恐れられた。
■ ワルタハンガ
[メラネシアの神話]
Walutahanga(ワルタハンガ)
メラネシアの神話に登場する不死身の蛇女。普通の人間の女から雌の蛇の姿でうまれてきた。母親は父親に隠してこっそりと育てていたが、あるとき、父親がそれを発見して、自分の娘とは知らずに八つ裂きにした。八日間、雨が降り、彼女の身体は再び繋がって復活した。彼女は旅に出たが、腹いせに人間を喰らうようになっていたが、捕らえられ、再び八つ裂きにされた。今度は復活しないようにシチューにされ、村人たちに食べられた。しかし八日間の雨の後、再び復活し、大波を起こして村を破壊した。その後、自分の土地を見つけると、そこで守護者になった。
■ ワロドン
[日本伝承][妖怪]
ワロドン,オジドン【日本語】
鹿児島県に伝わる河童(カッパ)の仲間で、山童(ヤマワロ)の一種。身体をバラバラに切り刻んでもまた復活できる。けれどもその肉片を食べてしまうと復活できない。また、水たまりに1000匹ものワロドンが隠れ棲んでいることがあったという。
■ ングマ・モネネ
[未確認動物(UMA)]
Nguma Monene(ングマ・モネネ)《巨大な蛇》
コンゴ共和国の北東部、マイカ沼沢地に棲む怪獣。クロコダイルのような頭部を持った大蛇のような怪物で、全長7~10メートル。頭の後ろからの尾まで、背中にはギザギザした突起が並んでいる。鎌首を持ち上げたり、二股に割れた舌をペロペロと出したりするという。
■ ンデンデキ
[未確認動物(UMA)]
Ndendeki(ンデンデキ)
コンゴ共和国のジャングルの奥地、リクアラオーゼルブ川沿いにあるボア村の周辺で目撃されたという巨大なスッポンのような怪物。甲羅のサイズが直径4~5メートルはあったと伝えられている。