参考文献(ガイド)
ファンタジィ事典を編纂するにあたって参考にした書籍について、簡単に解説してみたいと思います。どのような性質の本なのか、購入の際の手引きになれば、と思います。
■ Truth In Fantasy 事典シリーズ
『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
世界中の神話・伝承に登場する幻想動物たちが非常にコンパクトに、シャープにまとめられている本。1つ1つの項目に割かれているスペースが小さいので、一見、淡白に見える解説なんだけど、よくまとまっていて、この本をベースにいろいろと調べて、またこの本に戻ってくると、大抵のことはちゃんと書いてある。「ああ、そういうことか!」と手を打ってしまう。そんな本。1002項目が掲載されているんだけど、その全てにシブヤユウジ氏の手による絵が描かれているというのも素晴らしいと思う。随分イメージを助けてくれると思う。オススメ。
■ シリーズ・ファンタジー百科
『シリーズ・ファンタジー百科 世界の妖精・妖怪事典』(著:キャロル・ローズ,監:松村一男,原書房,2003年〔1996年〕)
『シリーズ・ファンタジー百科 世界の怪物・神獣事典』(著:キャロル・ローズ,監:松村一男,原書房,2004年〔2000年〕)
「妖精・妖怪」「怪物・神獣」の両方とも、非常に網羅的に世界中の幻想動物の類いを集めてくれている。マイナなものまで多数掲載されていて、圧巻だ。ただし、1つ1つの項目の説明が少なかったり、地方ごとに若干、異なる呼称も別のものとして解説が割かれていたりするので、難解な部分も多々ある。翻訳があんまりにも直截的な感じなので分かりにくいかも。それでも、現在ある書籍の中では項目数、マニアックさともに最高峰なのではないかな、と思う。
■ 日本の妖怪について調べる本
『日本妖怪大事典』(画:水木しげる,編著:村上健司,角川書店,2005年)
日本の妖怪について調べようと思ったら必携。日本全国の非常に多くの妖怪が収集されている。出典も項目ごとに載っているので遡っていきやすい。水木しげるの絵が白黒ながら載っている。村上健司さんによる解説は、ほとんど出典の写しに等しいかな、と思うんだけど、これだけ並べてくれると非常にありがたい。オススメ。
『全国妖怪事典』(編:千葉幹夫,小学館ライブラリー,1995年)
『日本妖怪大事典』が出版される前はこれが一番、詳しかったのではないかな、と思う。五十音順ではなくて地域順に並んでいるので、地域性を鑑みながら妖怪を探せるという点では非常に使い勝手がいいし、文庫本なのもいい。若干、解説が短かったりするけれど、項目も非常に充実しているので、『日本妖怪大事典』の次にオススメ。
■ 妖精について調べる本
『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
イギリスに限定して妖精を調べるのなら、この本が最良。妖精学の権威、ブリッグズ女史がイギリス中の妖精を400種類くらい集めてくれている。妖精の登場する物語のエピソードも掲載されているし、妖精の研究家についても理解できるようになっているので、妖精について詳しく知るにはイチオシの本。図版も多数掲載されていてとてもきれい。妖精研究には必携の本。ただし、訳はあんまりうまくない。英語で読んだ方が分かるかも。