藻居(ザオジュー)

[中国の妖怪]
 藻居〔zăo-jū〕(ザオ・ジュー)【中国語】

中国の水と木の精霊。宮殿建設による森林の伐採をとめるために武帝の前に出現した。武帝が建設を中止すると歌で返礼した。

森林の伐採をとめに出現した水と木の精霊

藻居(ザオジュー)は中国に伝わる水と木の精霊だ。夏は深い林に、そして冬は川の深いところに棲み、性格は非常に温和だという。

漢の時代、武帝が未央宮で宴会を行なっていると、どこからか「臣下である老人が申し上げたいことがあります」という声が聞こえる。けれども姿が見えないので探してみると、梁の上に小さな老人がいる。身長が20センチにも満たない小さな老人で、しわだらけの顔、白髪、杖をついて背中を丸めていた。武帝が用を尋ねると、天井と床を指して何も言わずに消えてしまった。これではさっぱり意味が分からない。そこで武帝は賢者と名高い東方朔を召し出して意見を求めてみた。すると東方朔は、彼らは藻居で、宮殿建設のためにこれ以上森林を伐採するのをやめるように頼みに来たのだと説明した。天井と床を指したのは、この宮殿で満足して欲しいという意味だという。そこで武帝はすぐに宮殿建設を中止した。

その後、武帝が瓠子河に行幸したとき、水中から楽器を演奏する音や歌声が聞こえてきたという。これは藻居たちが返礼として参上したものなのだという。それにしても、何ともエコロジィな精霊たちといえる。

《参考文献》