笑い男(ワライオトコ)
[日本の妖怪]
山に現れる子供の姿をした妖怪。笑い男が笑うと、やがて周辺の石や草木、果ては山全体までが笑い始める。山を降りても耳には笑い声が残り、やがて病死してしまう。
■ 怒涛の笑い攻撃!!
笑い男は高知県香美郡香我美町東光山に伝わる妖怪で、非常に恐ろしい。知行三百石の船奉行を勤める樋口関太夫という男が地元の農民が止めるのも聞かずに山北に猟にでかけた。どうやら「月の1日、9日、17日に山へ入れば、必ず笑い男に会い、半死半生になってしまう」というのである。関太夫は家来とともに山に入っていき、山腹で雉を狙った。すると一町(およそ109メートル)ほど離れた松林に15~16歳の子供が現れ、関太夫を指さして笑い始めた。しだいにその声が高くなり、やがて近くの山や石、草木まで笑うように見え始めた。さらに風の音、水の音までもが大笑いしているように響きだす。関太夫は慌てて家来と一緒に坂を下って逃げ帰ったが、その笑い声は山麓にまで聞こえたという。その年が過ぎて関太夫が病死するまで、耳の底にはこの笑い声が残っていて、その笑い声を思い出すと、耳の傍で鉄砲を打つような音が聞こえたというから恐ろしい。
《参考文献》
- 『日本妖怪大事典』(画:水木しげる,編著:村上健司,角川書店,2005年)