賽太歳(サイタイスイ)

[中国の妖怪]
 賽太歳(赛太歳)〔sài-tài-suì〕(サイ・タイ・スイ)【中国語】

『西遊記』に登場する魔王。大男で、紫金鈴と呼ばれる恐ろしい鈴を持っている。炎、煙、砂塵の嵐を起こすことができる鈴で、これで孫悟空を苦しめた。正体は金毛の猪で、観音菩薩の乗り物だった。

3つの鈴は炎、煙、そして砂塵の嵐を起こす!

賽太歳(サイタイスイ)は『西遊記』に登場する魔王。身長は5メートル以上と非常に大男で、麒麟山の獬豸洞に棲んでいた。彼は非常に多くの妖怪を従えている。賽太歳はあるとき、朱紫国の国王さまの后である金聖宮をさらった。さらにときどきやってきては金聖宮の侍女にすると朱紫国の女たちをさらっていく。そこで朱紫国の国王は孫悟空に助けを求めたのだ。

賽太歳は大きいだけではない。何と太上老君が八卦炉で丹念につくりあげた紫金鈴を3つ持っている。ひとつ目の鈴を振ると火炎の嵐が、ふたつ目の鈴を振ると煙の嵐が、そしてみっつ目の鈴を振ると砂塵の嵐が起こる。これがものすごい威力で、さすがの孫悟空も四苦八苦する。

孫悟空はまず賽太歳の手下、有来有去を退治すると、こいつに化けて宮殿に入り込む。そしてさらわれていた金聖宮に会うと、賽太歳から鈴を奪い取るように頼む。金聖宮は賽太歳に愛の証として鈴をくれるように要求し、賽太歳はまんまと騙されて鈴を手放してしまう。けれどもこれは失敗に終わる。鈴を手に入れた孫悟空が逃げようとすると、賽太歳の手下たちが大勢襲ってきて、多勢に無勢。さすがの孫悟空も蝿に化けて逃げ出してしまう。

今度は孫悟空、金聖宮の侍女に化けると、賽太歳の身体に大量のシラミを湧かせた。賽太歳が痒がって衣服を脱ぎ出すと、侍女に化けた孫悟空はそれを手伝い、ついでに「鈴についたシラミも取って差し上げる」といってまんまと鈴を手に入れる。それから今度はニセモノをつくって彼に突き返した。こうして鈴を奪われた賽太歳は、もはや孫悟空の敵ではなかった。孫悟空は紫金鈴を振り回し、火炎と煙、そして砂塵の嵐を巻き起こして賽太歳を苦しめる。

するとそこに観音菩薩が降りて来る。賽太歳の正体は、実は観音菩薩が乗り物にしている金毛犼という狼だったのだ。その昔、朱紫国の国王が若い頃に狩りをしていて、誤って孔雀菩薩の子供たちを射殺してしまった。そこで孔雀菩薩は国王と金聖宮に三年の間の別離の哀しみを味あわせるという罰を与えたというのだ。それを聞きつけた賽太歳が、牧童が居眠りをしている隙に逃げ出して、朱紫国から金聖宮をさらったのだった。こうして最後には賽太歳は金毛犼の姿に戻って、観音菩薩を乗せて天界へと戻っていく。

《参考文献》