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ロック

[アラビア伝承]
 رخ〔rokh〕(ロフ)【アラビア語】
 Roc(ロック),Ruc(ルーク),Rukh(ルフ)

アラビア伝承に登場する怪鳥。象を3頭を掴んで飛べるほどに巨大な猛禽類で、『千一夜物語』の中で、シンドバッドが何度か遭遇している。また、マルコ・ポーロの『東方見聞録』などでもマダガスカル島に棲息する巨鳥として紹介されている。象を掴んで上空に舞い上がり、落として粉々にし、その肉を食らうという。

アラビアに棲む象をも軽々と持ち上げる巨鳥!!

ロックはアラビアの伝承に登場する怪鳥である。一般的には巨大な猛禽類の姿をしていて、その大きさは象を3頭、いっぺんに掴んで飛ぶことができるくらいである。ロックは『千一夜物語』などにも登場し、「船乗りシンドバッドの冒険」の中で2回登場している。あるとき、辿り着いた島でシンドバッドは仲間から置き去りにされてしまう。島でドーム型の建物を発見する。一周するのにきっちり150歩もあったが、どこにも入り口や窓などがないので不思議に思っていると、やがて、空が暗くなり、巨大な鳥が飛んできた。シンドバッドは慌てて逃げ出そうとするが、鳥はシンドバッドのことなど気にする風でもなく白いドームの上に降りてきた。これは大きな勘違いで、実は白いドームこそ、ロックの卵だったのである。ロックが卵を暖めるのを見て、シンドバッドはようやく自分が怪鳥の巣にいることに気がついた。そして、ターバンを解くと、気づかれないようにロックの足に結わえつけ、次にロックが飛び立つときに、鳥の脚にしがみついて、この島から脱出したという。

その後もシンドバッドは航海の中でロックと再会する。ある島に停泊したときに、船乗りたちはロックの卵を壊して中の雛を食べようとする。するとつがいのロックが怒ってやってきた。乗組員たちは慌てて船まで逃げて海へと漕ぎ出したが、ロックは巨大な岩を掴んで船に落としたのであっという間に沈没してしまった。それでもシンドバッドは生き残り、また次なる冒険へと繰り出していく。

エドワード・レイン(Edward Lane)の挿絵では、その鋭い爪で3頭の象をいっぺんに掴んで飛んでいる絵が描かれている。また、ロックに知能があるのかどうかは不明だが、妖霊ジンたちはロックに仕えているという話もある。マルドリュス版では、アラジンがロックの卵を取って来てくれるようにランプの精霊に頼むが、「俺たちはロックの奴隷だぞ」と言ってイフリートは怒り出す。ロックとジンの関係性についてはよく分からないが、どうやら、ジンたちにとって、ロックは大切な存在のようである。

ロックの羽毛、マルコ・ポーロが手にとった!?

実は、マルコ・ポーロもロック鳥について言及している。189章の「モグダシオ(マダガスカル)島の話」の中でマダガスカル島の南方にある島に、現地人が「ルーク(Ruc)」と呼んでいる鳥が棲んでいると説明している。しかしながら、マルコ・ポーロはその怪鳥のことを、グリフォンだと思い込んでいる様子で、「しかしながら、その風貌は我々の物語や絵にあるものとはまるで違っている」としていて、実際のグリフォンというのは半鳥半獅子の怪物ではなく、途方もなく大きな鷲なのだと力説している。このルーク(Ruc)は、ある特定の時期になると南方から飛んでくるのだといい、象を鉤爪で持ち上げて、空高く舞い上がり、そこから象を地面に叩きつけて粉々にして食べるらしい。両翼の全長はおよそ27メートルほどで、羽毛の長さだけでもおよそ12メートルはあるという。クビライ・カアン(フビライ・ハーン)はこの地方に使節を派遣したという。その結果、彼らはこの鳥の羽毛を一枚、クビライ・カアンに献上したという。マルコ・ポーロも実際にその羽毛を手にとってみたという。

実際、古代には体長2~3mの鳥エピオルニスがマダガスカル島に棲息していて、直径30cmほどの卵を産んでいた。このエピオルニスから伝説が生まれたのかもしれないとする学者もいる。

《参考文献》