雷獣(ライジュウ)
[日本の妖怪]
雷獣(ライジュウ)
雷とともに天から駆け下りてくる妖怪。小さなイタチのような姿で、鋭い爪で
■ 雷とともに降ってくる獣
雷獣は、雷と一緒に天から駆け下りてくるとされる妖怪である。江戸時代の随筆や各地方の民俗資料に見られ、その特徴は文献によってまちまちである。たとえば『玄同放言』では狼のような獣で、前脚が2本、後脚が4本あるとされる。『駿国雑誌』では後脚に水掻きがついているとされる。『信濃奇勝録』では立科山(蓼科山)は雷獣が棲んでいるために雷岳と呼ばれるのだと説明していて、姿は子犬のようで、毛はタヌキに似ていて、ワシのように鋭い5本の爪がはえているとしている。冬は穴を穿って土中に入るため「千年鼹(せんねんもぐら)」とも呼ぶらしい。『斉諧俗談』では下野国烏山(栃木県那須郡烏山町)の雷獣はイタチよりも大きな鼠のような獣だとして、4本の足には鋭い爪がはえているとしている。夏の頃になると山のあちこちに自然に穴があいて、その穴から雷獣は首を突き出して空を見る。これは夕立ち雲を見ていて、乗れる雲を見つけるとすかさずそれに飛び移る。その際に雷が鳴るのだという。このようにさまざまな特徴が語られる雷獣だが、まとめると大きさがおよそ60センチぐらいの子犬、またはタヌキに似た獣で、シッポが21~24センチ。鋭い爪を持った動物ということになる。その鋭い爪跡が落雷した立ち木に残っていると言い伝えられてきた。
落雷とともに落ちてきたとする雷獣のミイラを伝える寺院もある。
《参考文献》
- 『日本妖怪大事典』
(画:水木しげる,編著:村上健司,角川書店,2005年)