クイックシルバー
[怪現象]
Quicksilver(クイックシルヴァ)【英語】
女性のポルターガイストで、通常のものよりも騒々しい。洋服ダンスの中身をぶちまけたり、浴槽などを水で満たしたりする。口紅などで鏡などに「Q」の文字を残していく。思春期の少年少女のいない家でも起こる。しばらくすればいなくなる。
■ 騒々しい女性のポルターガイスト!!
クイックシルバーはポルターガイストの一種。ポスターガイストはドイツ語で《騒々しい霊》という意味で、突然、窓や食器などが割れたり、何かが砕けるような音や、トントンと叩くような音がどこからか聞えてきたり、あるいは地震でもないのに家具が揺れたり、転倒したりする現象のことをいう。正体はよく分からないが、精霊の仕業とされることもある。クイックシルバーは女性のポルターガイストとされていて、通常のポルターガイストよりもいっそう騒々しい。部屋中の明かりをつけたり、家中のドアをパタパタと閉めたり、浴槽や流し、洗面器などにこぼれるほど水をいれたりする。あるいは(これは非常に女性的だが)洋服ダンスの中身をぶちまけたりもする。鈴の鳴るような高音の笑い声を響かせるので、眠っている人も起きてしまうというから迷惑な話だ。クイックシルバーは石鹸や口紅、クレヨンなどで、壁や鏡、窓ガラスなどにトレードマークの「Q」の文字を書き残していくという。
大抵、ポスターガイストというのは思春期の子供、特に少女のいる家で起こることが多い。滅多にそれ以外の家では起こらないのだ。そのため、一部の研究家たちは思春期の少年少女たちの特有の能力がポルターガイストを引き起こすと信じているし、あるいはポルターガイストが思春期の少年少女たちにとり憑く霊であるとされることもある。けれども、クイックシルバーに関しては、この通例は当てはまらないという。
幸運にことに、彼女はそんなに長く家に留まっていることはないという。しばらく辛抱していれば、いなくなってしまうのである。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『想像と幻想の不思議な世界―エンサイクロペディア・ファンタジア』(著:マイケル・ページ,絵:ロバート・イングペン,教育社,1989年)