フェニックス

[古代ギリシア伝承]
 Φοῖνιξ(ポイニクス)【古典ギリシア語】
 Phoenix(フェニックス)【英語】

炎の中から甦る不死鳥

フェニックスはエジプトに棲むとされる霊鳥。ワシに似た姿で、首の周りが金色、身体は紫色、尾はバラ色の混じった青色をしている。世界に一羽しか存在せず、五〇〇年を周期として死と再生とを繰り返す。「不死鳥」などと訳されることもあるが、実際には五〇〇年生きた後、アラビアに飛び、そこでシナモンの小枝で巣をつくってその上で死ぬ(死ぬのである!)。この死体から新しいフェニックスがうまれるという。プリニウスは『博物誌』の中で、死体から湧いたウジが雛鳥となって新しいフェニックスになると説明している。その後、寿命が来ると自らの身体を焼き、炎の中から再生して天空へと飛翔すると考えられるようになった。フェニックスが自らの身体を焼くのは世俗の汚れを落とし、無垢なる身体で生まれ変わるためであるという。

ファニックスはその不死性によって不死の霊薬として時の権力者たちによって探求されるようになった。フェニックスの血を飲むと不老不死になれるなどと実しやかに信じられていたのである。伝承によれば、フェニックスは一生に一度、アラビアからエジプトのヘリオポリスに飛んでくる。目撃されるのはこのときだけだという。

フェニックスはしばしばエジプトの霊鳥ベンヌと同一視されている。

《参考文献》

  • 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
  • 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
  • 『モンスター・コレクション 改訂版』(著:安田均/グループSNE,富士見ドラゴンブック,1996年)
  • 『モンスター・コレクション ファンタジーRPGの世界』(著:安田均/グループSNE,富士見ドラゴンブック,1986年)