ナーイアス
[ギリシア・ローマ神話]
Ναϊάς(ナーイアス)【古典ギリシア語】
pl. Ναϊάδες(ナーイアデス)
河や泉のニュムペー。美しい女性の姿。それぞれの河の河神たちの娘。彼女たちの河や泉の水を飲むと病が治るが、勝手に水浴びしたりすると罰として病を送られたり、狂わされたりする。男性を水中に引きずり込むなどの悪さもする。人間男性の妻になることもあり、しばしば英雄たちの系譜に登場する。
■ 河や泉のニュムペー、ナーイアス
ナーイアスはギリシア・ローマ神話に登場する河や泉のニュムペー。大抵、各々の河や泉にひとりで棲んでいることが多いが、ときには数人で暮らしていることもある。若く美しい女性の姿をしている。ホメーロスは「ゼウスの娘」と表現したりもしているが、大抵の場合、河川にはそれぞれ河神が棲んでいて、彼女たちはそれら河神たちの娘である。
ナーイアスの棲む河や泉の水を飲むと病気が治ると信じられている。けれども、水を浴びることはナーイアスたちに対する冒瀆である。彼女たちはその罰として病を送ったり、人を狂わせたりする。また水辺に素敵な男性がいると、水中に引き込んでしまうという面もある。ヘーラクレースの従者であったヒュラスもナーイアスの犠牲になっている。
ナーイアスはしばしば人間の妻になる。英雄たちの系譜にもしばしば顔を出すことになる。ナーイアスに関する地方伝説は非常に多いという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』(著:高津春繁,岩波書店,1960年)