ミカエル
[キリスト教の天使]
Michael(ミカエル)【英語】
מִיכָאֵל〔mīkhā'el〕(ミーカーエル)【ヘブライ語】
میکائیل(ミーカーイール)【アラビア語】
ユダヤ教、キリスト教、イスラームの大天使。サタンの敵対者として活躍。剣と楯とを持った黄金の鎧を着た姿で描かれることが多い。中世には崇拝された。
■ サタンの敵対者、大天使ミカエル
ミカエルはユダヤ教、キリスト教、そしてイスラームの伝承に登場する天使。神さまが最初に創造した最大級の大天使で、キリスト教では四大天使長に数えられる。戦士として描かれ、サタン(ルーキフェル)が天使の3分の1を従えて天界に叛乱を起こしたときに、サタンと対峙し、天国から投げ落とした。死者の魂を神のもとへ連れて行く役目も持っており、また、最後の審判のときには人間の魂を秤で量る。
背が高く、輝く若い男性の姿をしていて、白い服や黄金の鎧を身に纏っていることが多い。ドラゴンを打ち負かしている姿や、最後の審判で死者の魂を量る秤を持った姿で描かれる。
イスラームのクルアーンにもمیکائیل(ミーカーイール)として登場する天使で、それによれば、エメラルド色の翼をはやし、髪の毛はサフラン色、その1本1本に百万の顔と口があるというから想像を絶する。
ミカエル崇拝は中世にピークを向かえ、ミカエルを讃える聖堂がいくつも建てられている。9月29日は聖ミカエル祭で、聖ミカエルと天使たちの祝日である。また、492年にイタリア南東部のガルガノ岬で牧夫たちの前に出現したという伝説が残されていて、この5月8日もキリスト教の記念祝日になっている。
初期ユダヤ教の占星術では水星と結びつけられたが、中世キリスト教の頃になると、やがて太陽と結びつけられるようになった。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』
(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『シリーズ・ファンタジー百科 世界の妖精・妖怪事典』
(著:キャロル・ローズ,監:松村一男,原書房,2003年〔1996年〕)