キーヌシー
[沖縄の妖怪]
kī-nu-shī(キー・ヌ・シー)《木の精》【沖縄語】
沖縄の木の精。大木に宿る。木を伐るときにはキーヌシーに祈願する。
■ 木に宿る精霊
キーヌシーは沖縄県に伝わる木の精霊。大木に宿っているという。沖縄ではよく屋敷の大木を伐るときなどにはキーヌシーに祈願してから伐る。旧暦12月8日はムーチーの日と呼ばれ、キーヌシーが不在となるので、この日に限っては枝を切り落とせるとする土地もあるという。実際には倒れていないのに夜中に木の倒れる音が聞こえることがある。これはキーヌシーが苦しんでいる音だ。そうした木は2~3日の後に枯れてしまうという。
沖縄にはカジュマロの木の精としてキジムナーというのもいて、これは子供の姿をとって動き回る。けれどもキーヌシーはそういうことはなく、あくまでも木の中にいる存在のようだ。音だけで、姿を見たものもいないという。キーヌシーを擬人化したものがキジムナーだという人もいるようだ。
ウェブサイト上では「木の主」と解説されていることがあるが、おそらく間違いである。キーヌシーはキー・ヌ・シー(kī-nu-shī)で、沖縄の言葉で「木の精」のことである。日本には古くからコダマ(木霊)というのが知られているが、キーヌシーはその沖縄のヴァージョンだろう。
《参考文献》
- 『日本妖怪大事典』(画:水木しげる,編著:村上健司,角川書店,2005年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)