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クー・シー

[イギリスの妖精]
 Cu-Sìth(クー・シー)《妖精犬》【ゲール語】
 Cir-Sìth(カー・シー),Ce-Sìth(ケー・シー)

スコットランドの妖精犬。牛ほどの大きさ。もじゃもじゃの緑色の毛をはやし、妖精丘に棲む。妖精たちが番犬として飼っていることがある。夜間に路上で遭遇すると非常に恐ろしい妖怪犬。

妖精丘を守る番犬

クー・シーはスコットランドのハイランド地方に伝わる妖精犬だ。スコットランドのゲール語で意味するところは《妖精犬》だが、大きさは仔牛くらいあるという。普通、妖精犬というのは白い色をしていて、耳や目が赤いというのが一般的だが、どうもクー・シーは違っているようだ。身体中、暗い緑色のもじゃもじゃした毛に覆われている。長い尾をしていて、渦巻き状にして背中のうえに巻いているとか、平たく編んで垂らしている。足が大きいのも特徴の1つで、人間の足と同じくらいのサイズだという。しばしば泥や雪の中で足跡が見られたという。音を立てずに滑るように歩いたという。

クー・シーは妖精丘を守る番犬として妖精たちが飼っているとも言われている。普段は妖精丘の内部につながれているが、妖精と一緒に人間界にやってくることもある。あるいはだれか侵入者がいると妖精たちによって解き放たれるという。クー・シーはほとんど吼えないというが、獲物を追うときは3度吠えるという。この吠え声は遠くまでよく響くようで、遠い沖合いの船にまで届くほどだったという。これに関しては次のような伝承がある。背後にこの獣の声を聞いた旅人は、クー・シーが3度唸る前に宿を探さなければならないというのだ。というのも、3度目の吠え声は獲物の死を知らせる合図なのだ。

このように、妖精たちに連れられていることが多いクー・シーだが、単独で出歩くこともあって、こういう場合は人間にとっては非常に危険だった。イングランドに伝わる黒妖犬の伝承などと同様、災厄の前兆として恐れられた。特に夜間、路上で遭遇すると恐ろしい妖怪だった。けれどもJ.F.キャンベルの『サントライ島』という物語では、妖精丘に侵入した人間を追って追いかけてきたクー・シーが、人間たちが飼っている犬によって追い返されるという描写があるというから、恐ろしい妖精犬も、案外、普通の犬には弱いのかもしれない。

《参考文献》